■作品内容
近代化・都市化のなかで、日本人の暮らしは大きく変わった。
家族のありようは様変わりし、日々の暮らしを少しでも豊かに彩ろうと、
生活の隅々に至るまで意味づけてきた先人たちの知恵も理解されなくなった。
少子化・高齢化は、我々の暮らしにどんな変化を迫るのか?
飽食の時代に生きる私たちは何を学びとればいいのだろうか。
【著者紹介】
1942年福岡県生まれ。九州大学大学院博士課程単位取得満期退学。
現在、お茶の水女子大学教授。
著書に「ケガレの構造」「いのちの文化人類学」など多数。
【書評から】
戦後の新民法で伝統的な「家」制度は法的根拠を失った。しかも少子化・高齢化
の現在、暮らしという生存の適応技術の総体も変化し、イエのあり方が問われて
いる。
家庭での教育力の喪失、消費の拡大により質素で単調なケの生活がなくなった
日常の「ハレ(祝祭)化」現象、家族が負う介護での「福祉」のあり方、女性の
労働力が問いかける効率優先への疑問、性への畏敬が失われた実情などを女性
の目から見つめる。
(聖教新聞1999.12.22)
◆
近代化や都市化で日本人の伝統的な暮らしや地域社会のあり方、人間関係は大き
く変わった。本書は、暮らしの中で生じている変化を客観化する方法のひとつと
して、著者が昭和39年以来調査を続けてきた日本の農産漁村の暮らしをまとめた
もの。著者の「暮らしの中の文化人類学」を底本とし加筆修正しているが、著者
が主張してきたことは、現在の日本でもほとんどがそのまま当てはまるという。
少子高齢化社会のなかで「暮らし」の意味を問い直す手がかりなる。
(「望星」2000.1)
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