■作品内容
東日本大震災で、日本人がとった冷静な行動、
助け合いの精神は、世界中を驚嘆させた!
「日本ガンバレ!」「日本は必ず復活する!」…
数々の熱いエールが語る日本人の特質とは!?
【編者紹介】
1929年東京都生まれ。ワシントン大学修士号、早稲田大学大学院博士課程修了。
上智大学講師を経て、(財)地域社会研究所理事。専攻はフランス中世文学。
エッセイ、小説、翻訳など多彩な活動を展開。また、画家のモーゼスおばあさん
を日本に紹介したことでも知られている。
主な著書に『「星の王子さま」をフランス語で読む』『昭和天皇「贖罪詔勅草稿」
の発見』『昭和天皇と田島道治と吉田茂』『言葉でたたかう技術』等多数。
【書評から】
日本のここが好き
加藤恭子編「私は日本のここが好き!」を読んだ。外国人の目から見た日本人を
語るというシリーズで、今回は東日本大震災と日本人がテーマになっている。
(中略)あの災害のとき日本人が実に冷静で、礼儀正しく、互いに助け合う実情を
見た外国人が、驚きの言葉で称賛してくれたことは、メディアも伝えていたが、
1冊にまとめられた言葉の数々を、じっくり読んでみたいと私は思った。
日本に住んでいる外国人、海外からの寄稿、メッセージのほか、日本人としてどう
受け止め、これからの方向を示す力の入った寄稿など、行き届いた編集で読みや
すかった。
インタビューは、いわゆる偉い人とか、有名人ばかりを考えたものではなく、小さな
飲食店でアルバイトをしながら日本語を学ぶ学生もいるし、長年日本に住んでいる
アメリカ人の会社の日本代表とか、さまざまな立場の人たちで、災害時以外の日本人
についても語っているのが、私には興味深く参考になった。(以下略)
(新潟日報・「吉沢久子の家事レポート」、2011年9月22日)
◆
震災日本 外国人の「声援」
地震、津波、原発事故に見舞われた日本への思いを外国人が語った「私は日本の
ここが好き!特別版」が出版された。27か国・地域の計66人が自国の災害などと
比較しながら語っており、日本という国について改めて考えるきっかけになりそ
うだ。
企画したのは、仏文学者でエッセイストとしても知られえる加藤恭子さん。東京
都内で主宰する市民講座「ノンフィクションの書き方」の受講生たちとこれまで、
外国人のインタヴュー集を2冊(「私は日本のここが好き!」2008年、「続 私は
日本のここが好き!」2010年)出してきた。東日本大震災後、日本を心配・応援す
る声が多数寄せられたことから、特別版としてまとめることにした。
中国にいる家族から帰国を迫られた東京在住の女性が、「日本は高い技術力がある
から大丈夫と家族を説得した」話や、非常時でも礼儀正しい日本人の姿を交流サイト
に掲載したネパール人男性の話などが紹介されている。
支援してくれた国に日本の若者を「ありがとう大使」として派遣してはどうかなど、
加藤さんの再生に向けた提言も掲載されている。
(読売新聞・「くらし・家庭欄」、2011年9月20日)
◆
未曽有の大惨事となった東日本大震災から半年。政治の混迷もあって復興は
遅々として進まないが、被災者らは現実に向き合い、自助努力を続けている。
本書はそんな被災者に向けた計27ヵ国、66人の外国人からのエール集である。
「日本人の心の根底にはがんばったり、我慢したりする魂がもともと入っていると
思います」との称賛もあれば、「想定外という言葉や、『現状では大丈夫』という
コメントを聞くたびに、日本で暮らしている子供たちの未来に対しての不安が大きく
なるばかりです。政治家を始め、関係者は無責任すぎると思います」という辛口の
批判も。いずれも、未来の日本を築くための貴重な提言と受けとめたい。
(産経新聞・「読書欄」、2011年9月11日)
◆
3月11日、私たちは今までにない体験をした。それは外国人も同じだ。27ヶ国、66人
の肉声がここに綴られている。
避難する非常階段で、人を押しのけて先へ行く人も、途中で後ろから押されて落ちた
人もいないし、階段を譲る人さえいたこと、政府を待たずにやれることをやり始め、
仲間同士の怒鳴り声が聞こえないこと等々、海外メディアで称賛された災害時の日本人の
冷静さ、に忍耐強さ、隣人と助け合う姿が、一人ひとりの具体的な体験とともに語られる
第一部がまず興味深い。
本書の素晴らしさは、外からの声の紹介だけでなく、私たちが外国に対し何をすべきかを
提案していることだ。「助けてくれてありがとう」を伝える「若者」大使の派遣もその一つだ。
その体験が、のちにその子の世界に向けての発信力の向上につながるだろう。ネパールの
留学生が語る小さな男の子のエピソードは、私たちが「若者」大使候補者を持っていることを
確信させてくれる。
本書の読者は日本人が好きになり、外国人への先入観がなくなり、お互いの理解をより
進めることになるはずだ。海外での日本紹介にも欠かせない一冊になるだろう。(K)
(『グローバル経営』2011年9月号)
◆
|