■作品内容
第7回読売演劇大賞・優秀女優賞を受賞するなど、
女優・ダンサーとして活躍する著者の感動の青春記!
「聞こえない世界」に生まれ、血のにじむような努力の
末、習得した言葉と口話。
「聞こえる世界」との狭間で、もがき苦しんだ少女時代。
自暴自棄と虚無の時間の中、自分の喉をつぶしてしま
おうとまで考えた著者が、表現者として生きる道を発見
するまでの心の軌跡。
読んだ後、勇気と希望が湧いてくる感動の書。
▲アメリカの「メディア・アクセス・アワード賞」で第2位を受賞した手話ソング&ダンス
ユニット「ソウル・レインボー」初制作のミュージック・ビデオのカバー。(左・著者)
【著者紹介】
1971年生まれ。先天性聴力障害のため生まれつき耳が聞こえないが、
両親の献身的教育により口話を習得する。
私立作新学院を卒業後、手話演劇やダンス、自主映画制作を始める。
1997年に制作した『姉妹』で「サイト映像展」入選。
1999年俳優座劇場プロデュースの「小さき神のつくりし子ら」の主役・
サラ役に一般公募で選ばれ主演、第7回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。
その後、渡米して演劇やダンスの勉強をする傍ら、手話ソング&ダンスのユニット
「ソウル・レインボー」を結成。2002年、初制作のミュージック・ビデオが、アメリカの
「メディア・アクセス・アワード賞」で第2位を受賞。現在、女優、手話ソング&ダンス、
ダンスの講師として活躍中。
自らの半生を描いた本書が、第52回日本エッセイスト・クラブ賞の最終候補作にノミ
ネートされるなど、活躍が多方面から注目されている。
☆大橋弘枝 Web Site☆
【書評から】
きっとあなたを勇気づけてくれるだろう
これは果敢でキュートなチャレンジャーの物語だ、先天性聴覚障害者の著者は
厳しい講話教育により口話を習得。社会人になってから聞こえない世界を知り、
「手話こそ自分の言葉!」と表現の世界を広げていく。一般公募で舞台「小さき神の
つくりし子ら」主役のサラ役に選ばれる。手話の素晴らしさを知るにつれて、ろう者
としてのアイデンティティに目覚めていくが…。
総ルビでどなたにも読みやすく配慮されている。特に難聴の自分、周囲と違う自分に
悩んでいる方々に読んでほしい。きっとあなたを勇気づけてくれるだろう。
(「いくおーる」2004年4月号)
◆
パワフルに元気に人生をおどり続けよう
これは、俳優でありダンサーである大橋弘枝さんが、夢の実現への挑戦の日々を
綴った自伝だ。(中間部略)
コミュニケーションの方法は聞き、話すこと以外に、手話、ボディランゲージ、表情
しぐさなど多様だ。ひとつの可能性が閉ざされたとしても、それに代わる方法は
必ずある。
聞こえないことも個性として受入れ「私は私よ!」と迷わず夢に挑戦していく姿は
爽快! 悩みを抱えるすべてのひとへ、勇気を与えてくれるメッセージだ。
(月刊「クーヨン」4月号2004年)
◆
夢をあきらめず本場で学ぶ――〈インタビュー〉
(前半略)
2歳のとき、生まれつき耳が聞こえないことがわかった。高校を卒業後、
障害者雇用枠で入った会社で覚えた手話が、世界を広げた。「音を聞くことができ
ない。でも音楽を感じる」という大橋さんはある日、CDでジョン・レノンの名曲
「イマジン」と出会う。
本の中で大橋さんは「胸を打たれた。繰り返し曲を聴き、何度も歌詞を読んだ。
ほほは涙でぬれた。初めて音楽による感動を経験することができた。1カ月かけて
手話で歌うイマジンをマスターした」――などと振り返る。
会社を辞め、アルバイトをしながら手話劇団で芝居の勉強をしたり、小さな舞台に
挑戦したりするようになった。全身での表現意欲はどんどん増し、何回も渡米して
本場の演劇やダンスを学んだ。
持ち前の明るさとバイタリティで苦境をはねのけてきた。自分を信じ、可能性を探し
続けた大橋さんは「自信のない人、元気になりたい人は読んでください。いままで多
くの人からもらった勇気をお返ししたい」と話している。
(朝日新聞・栃木版2004年2月11日)
◆
音への切なる思い綴る――〈インタビュー〉
(前半略)
「もう声なんて…」のタイトルは高校卒業後、就職先での出来事だった。
手話で意思交換をする同僚が大橋さんに「なぜ手話を覚えないの?」と疑問を
ぶつけてきた。手話を必要とせずコミュニケーションが可能になっていたのだが、
職場では手話の習得を迫られたのだ。
しかし、「なぜ手話を覚える必要があるの?」と、懸命にわが子に「読話」を教え
てきた真砂子さんに詰め寄られた。板挟みになって「もう声なんかいらない」と思っ
たのはそのときだった。
原稿用紙四百枚。「ものすごいエネルギーを使いました」と執筆にかけた月日を笑
う。出版に向けて何社も交渉に足を運んだ。念願がかなったときは「感無量というか、
言葉にならないうれしさでした」とほほえむ。
これまで自主映画のほか、教育映画「風のひびき」、平成十一年の俳優座劇場
プロデュース「小さき神のつくりし子ら」で第七回読売演劇大賞・優秀女優賞を受賞。
一昨年には米・ハリウッドでダンスショーにも参加した。このときのメンバーが不思議
そうに「音楽が聞こえないのになぜ踊ることができるの?」と尋ねてきた。その問い
に対する答えは「音楽を感じるから」だった。(以下略)
(産経新聞・栃木版2004年2月7日)
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