■作品内容
『種の起源』 『悪の華』 から
『沈黙の春』 『悪魔の詩』 まで
20世紀を衝き動かした重要著作がわがものに!
戦争と平和、破壊と繁栄の20世紀を総括し、21世紀へ贈る人類の叡智の
結晶を60余名の気鋭の研究者たちが、
一作品一見開きで、コンパクトで分かりやすく解説。
相対性理論や構造主義など世界の見方を根本から変えた本、
戦争や虐殺の記録、大衆への影響力が大きかった政治家の文章など、
20世紀を突き動かしてきた100冊の名著をたどれば、
20世紀の全体像が浮き彫りになる。
《本書の目次から》 … あなたはいくつ読みましたか?
T 19世紀の遺産と20世紀の幕開け〔〜1914〕
ボードレール◇悪の華|ダーウィン◇種の起源|マルクス◇資本論|
ニーチェ◇ツァラトゥストラはこう語った|フレーザー◇金枝編|
H・G・ウェルズ◇タイム・マシン|ヴェブレン◇有閑階級の理論|
A・カーネギー◇富の福音|フロイト◇夢判断|ハーン◇怪談|
シュタイナー◇神智学|ウェーバー◇プロテスタンティズムの倫理と資本
主義の精神|アインシュタイン◇特殊相対性理論|岡倉天心◇茶の本|
ラッセル◇ホワイトヘッド|西田幾多郎◇善の研究|カンディンスキー◇
芸術における精神的なもの|プルースト◇失われた時を求めて|
U 革命と実験の時代〔1915〜24〕
カフカ◇変身|ソシュール◇一般言語学講義|レーニン◇国家と革命|
シュペングラー◇西洋の没落|ホイジンガー◇中世の秋|シュバイツァー◇
水と原生林のはざまで|魯迅◇阿Q正伝|ジョイス◇ユリシーズ|
T・S・エリオット◇荒地|ウィトゲンシュタイン◇論理哲学論考|
孫文◇三民主義|ブルトン◇シュルレアリスム宣言|
V 大衆社会の光と影〔1925〜40〕
ヒトラー◇わが闘争|H・フォード◇藁のハンドル|ガンディー◇
ガンディー自伝|ハイデガー◇存在と時間|D・H・ロレンス◇
チャタレイ夫人の恋人|ブレヒト◇三文オペラ|トロツキー◇永続革命論|
ムジール◇特性のない男|オルティガ・イ・ガセット◇大衆の反逆|
ハイゼルベルグ◇量子力学の物理的基礎|ハイエク◇価格と生産|
ゲーデル◇不完全性定理|フッサール◇ヨーロッパ諸学の危機と
超越論的現象学|ケインズ◇雇用・利子および貨幣の一般論|
ベンヤミン◇複製技術の時代における芸術作品
W 戦争とその傷痕〔1941〜50〕
シュンペーター◇資本主義・社会主義・民主主義|カミュ◇異邦人|
谷崎潤一郎◇細雪|サン=テグジュペリ◇星の王子さま|サルトル◇
存在と無|鈴木大拙◇日本的霊性|ポパー◇開かれた社会とその敵|
メルロ=ポンティ◇知覚の現象学|アンネ・フランク◇アンネの日記|
アドルノ/ホルクハイマー◇啓蒙の弁証法|フランクル◇夜と霧|
ウィナー◇サイバネティックス|オーウェル◇1984年|
ボーヴォワール◇第二の性|リースマン◇孤独な群集|
X 知の枠組みの解体と構築〔1951〜66〕
アーレント◇全体主義の起原|ベケット◇ゴドーを待ちながら|
ファノン◇黒い皮膚・白い仮面|J・D・ワトソン/F・H・クリック◇
デオキシリボ核酸の構造|バタイユ◇エロティシズム|ケージ◇サイレンス|
カーソン◇沈黙の春|レヴィ=ストロース◇野生の思考|
ソルジェーニツィン◇イワン・デニーソヴィッチの一日|
クーン◇科学革命の構造|ローレンツ◇攻撃|マクルーハン◇メディア論|
バフチン◇フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化|
チョムスキー◇文法理論の諸相|ラカン◇エクリ|フーコー◇言葉と物|
Y 繁栄と反乱〔1967〜78〕
毛沢東◇毛沢東語録|R・バルト◇モードの体系|手塚治虫◇火の鳥|
ガルシア=マルケス◇百年の孤独|デリダ◇グラマトロジーについて|
メイラー◇夜の軍隊|ゲバラ◇ゲバラ日記|キング◇良心のトランペット|
石牟礼道子◇苦海浄土|モノー◇偶然と必然|ミレット◇性の政治学|
ロールズ◇正義論|ドゥルーズ/ガタリ◇アンチ・オイディプス|
クリプキ◇名指しと必然性|ローマ・クラブ◇成長の限界|
ドーキンス◇利己的な遺伝子|サイード◇オリエンタリズム|
Z ポストモダンから第二の世紀末へ〔1979〜〕
プリゴジン/スタンジェール◇混沌からの秩序|ラヴロック◇地球生命圏|
エーコ◇薔薇の名前|ハーバーマス◇コミュニケーション行為の理論|
イリイチ◇ジェンダー|ホーキング◇ホーキング、宇宙を語る|
ラシュディ◇悪魔の詩|
【著者紹介】
鷲田清一(わしだ・きよかず)
1949年生まれ。大阪大学大学院文学研究科教授。
著書に『普通をだれも教えてくれない』など。
野家啓一(のえ・けいいち)
1949年生まれ。東北大学文学部教授。
著書に『物語の哲学』など。
【書評から】
「20世紀を代表する著作は『ユリシーズ』『特殊相対性理論』…うーん」
と悩んでいると、タイミングよく『20世紀を震撼させた100冊』(出窓社)
という本が出版された。57人の専門家と鷲田清一、野家啓一の
二人の哲学者による編集は、『種の起源』や『特性のない男』など、
20世紀を動かした著作を幅広く紹介し、その価値を十分に伝えてくれる。
選ばれた100冊を改めてみると、人間の素晴らしい知恵を認識すると同時に、
悲劇的な愚かさも教えられる。(友隣堂・佐野普さん)
(読売新聞「書店から」1998.9.19)
いまさらブックガイドは珍しくないが、「20世紀」と「100冊」を合体させた
のはアイデア。「20世紀の先駆」として、ダーウィンの「種の起源」、マルク
ス「資本論」、ヴェブレン「有閑階級の理論」、フロイト「夢判断」など冒頭
に19世紀末の本をいくつか紹介し、以後、カフカ「変身」、ヒトラー「わが闘
争」、オルテガ「大衆の反逆」、ボヴォーワールの「第二の性」、カーソン
「沈黙の春」、さらに「毛沢東語録」などまでがずらり並ぶ。意欲的な企画だ
が、唯一のマンガが手塚治虫「火の鳥」なのには異論があるかも。
(日刊ゲンダイ1998.11.19)
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