■作品内容
東京が、新宿が、沸騰していた'80年代を、スキャンダラスに彩った伝説の雑誌
『写真時代』創刊号から終刊号まで連載され、全国のアラーキーファンを魅了
した超極私日記の完全版。前回未収録の『写真世界』の日記も完全収録。
《本文より》
1981年2月16日 有楽町交通会館「照鮨」にて、「アサヒカメラ」岡井編集長、
中西、丹野3氏と打ち合わせ、増刊<荒木経惟の写真生活>を出すことが
決まる。銀座のクラブ「青島」で、<愛ひとすじ>を唱う。
【著者紹介】
1940年東京生まれ。千葉大学卒業。写真家。
64年第1回太陽賞、91年東川町国際写真フェスティバル国内作家賞等受賞。
個展多数開催。著書に「彼岸にて」など多数。
【書評から】
かつて「写真時代」という雑誌があった。けばけばしい表紙とハダカの写真。
中ほどに「東京日記」の連載ページがあった。極小活字で展開する日録が荒木
ファンを引きつけた。本書は、やがて雑誌「写真世界」に引き継がれて都合
9年間続いた連載の全部を1冊にまとめた完全版である。
1981年2月16日から1989年5月31日まで毎日毎日、さすが天才といわれる
表現者、よくここまで克明に書いた。ドーンと分厚い2段組の750ページ。
(中略)
80年代全般の移り変わりを目の当たりにできるのも楽しい。映画からテレビ
番組からさまざまな受賞記念パーティから訃報から、ここには時代の変化が
息づいている。
もちろん写真論、写真家論、写真機論のそれぞれの内容充実。ことに、
「カメラによって考えとか自分が変えられる」というひと言が印象深い。〈鷲〉
(日刊ゲンダイ「これがイチ押し!!」3月8日)
◆
(前段略)
天才写真家荒木氏の日記を読んでまず驚くのは、その行動力のすごさと出会う
人の多さと読書の膨大さ。たまに「花と陽子にかこまれて、にちようび」
と記されていると、読んでいる方がホッとするくらいその脳味噌は働きっぱな
し。また、その間に起きた様々な八十年代の出来事(鈴木いずみさんが逝った
ことなど)も記されていて、ホントに一時代がよくわかる。そしてさらにすば
らしいのは文章の上手さと、毎日の食事のメニューが記されていること。これ
は日記を発表するにあたっての基本だ!今月オススメの一冊。
(「アックス」26号)
◆
オールドファンには懐かしの/若いファンには感涙モンのテキスト=アラーキー
文芸の原点的作品『東京日記』。パチンコ玉=スエーさんとコラボレートした
「写真時代」の連載ヴァージョンに加え、今回は「写真世界」連載分(旧版は
未収録)を収録したコンプリート版。怒涛の一九八〇年代、三千日に及ぶ日記っ
てだけで、ぶっ飛びなトコを、書き手はアラーキー、しかもすんげえ詳細な描写
で、ってんだからたまんない内容なワケっすよ。日記ブンガクの最高峰じゃない
かしらん。欄外の出会った人々の氏名一覧も、ミーハーに素敵。
(「SMスナイパー」6月号)
◆
その他、信濃毎日新聞3.31、山陽新聞3.31、河北新報4.14、
「ダ・ヴィンチ」4月号、「噂の真相」4月号編集長日記、「BT」5月号
など多数。
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