■作品内容
時代の嵐は、国家を代表する歌劇場にも吹き荒れた!
ドイツ帝国、 ワイマール共和国、 ドイツ第三帝国、 ドイツ民主共和国 (東ドイツ)、ドイツ連邦共和国 (統一ドイツ)。 5つ激動期を見続けてきたベルリン国立歌劇場。 時代の荒波に翻弄されながらも、自らの存在価値を問い、芸術的自由を追い求めた劇場支配人や音楽家たちの苦闘の歴史。政治や社会が文化に果たすべき役割を現代に問い直す、著者渾身の大作! ★序文:ダニエル・バレンボイム
◇もくじ◇
◆ベルリン国立歌劇場について
ベルリンのブランデンブルク門からベルリン大聖堂へ続く大通りは、ウンター・デン・リンデン(菩提樹の下)という17世紀から続く並木道である。
ベルリン国立歌劇場は、この通りに面しており、正式名称は「シュターツオーパー・ウンター・デン・リンデン」というが、人々は親しみを込め、「リンデン劇場」と呼んでいる。
その歴史は遥かプロイセン王国の宮廷歌劇場まで溯り、いつの時代も国家を代表する歌劇場であり、音楽はもちろん政治の舞台でもあった。
その名声は世界中に轟き、今も「菩提樹の下で会おう」という合言葉と共に、音楽愛好家たち憧れの劇場として燦然と輝いている。
【著者紹介】
●ミーシャ・アスター
1978年カナダ生まれ。ロンドンの経済学スクール、ハーヴァード大学、モントリオールのマギル大学、ベルリン自由大学で政治学と歴史学、演劇学を学んだ。
研究者として広く音楽と社会について講じる傍ら、ヨーロッパ大陸と北米大陸でプロデューサーおよび舞台演出家として活躍している。
2005年11月にはオーストリアのインスブルック州立歌劇場でプッチーニの『蝶々夫人』を演出。
2009年11月15日には州立歌劇場ウンター・デン・リンデンで、同歌劇場の歴史について講演を行なった。
初の著書『国家オーケストラ ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の1933-45年』は好評を博し、8ヶ国語に翻訳され、日本語では『第三帝国のオーケストラ ベルリン・フィルとナチスの影』(早川書房、2009年)として出版された。
またドキュメンタリー映画『帝国オーケスラ』(エンリケ・サンチェス=ランシュ監督、2007年)にも監修者として参加。映画は世界中で上映され、センセーションを巻き起こした。
日本でも2008年に上映され、2010年にはテレビ放映された。現在、妻と2人の子供と共にベルリン、パリに在住。
【翻訳者紹介】
●平尾行藏(ひらお・こうぞう)
1945年神戸市生まれ。神戸大学、東北大学卒業。専攻は音楽美学。元・遠山音楽財団附属図書館、慶應義塾大学メディアセンター本部事務長。
遠山音楽財団附属図書館での勤務時代、ドイツに13か月留学し、西ベルリン、ミュンヘン、シュットガルトなど、各地の図書館音楽部門で音楽資料について学ぶ。
主な訳書にアルノルド・ヴェルナー=イェンセン『プレミエからレパートリーへ』(アカデミア・ミュージック)、共訳書に『世紀末から20世紀音楽へ』(音楽之友社)、バリー・ミリントン監修『ヴァーグナー大事典』(平凡社)などがある。
【書 評】
◇『モーストリー・クラッシク』(2024年1月号)に書評が掲載されました。
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